Mitsuo Aida Museum

先日、相田みつを美術館に行ってきた
相田みつをさんの作品とご対面するのは高校生以来
母校のギャラリーで彼の作品展が何回か開催され、そのたび足を運んでいた
今年に入って、同じく母校のギャラリーで何度か作品展があった岩合光昭さんの展覧会にも行く機会があり、その時にも感じたことなのだが、同じ人の作品に接しても、状況や接する作品が異なれば受ける印象がこんなにも違うものなのだなと改めて思った

今回の展示のテーマは「いま ここ じぶん」
生きとし生けるものはいま、この瞬間しか生きられないのであり、命あるものの一生はその一瞬の積み重ねである
頭では分かっているつもりでも、改めてその事実を突きつけられると、ハッとしてしまう自分がいる

この美術館では毎月第一土曜日の午前に「朝さんぽ」という催しを行っており、今回そうとは知らず偶然参加することができた
現館長である相田みつをさんのご長男が、息子から見た父の作品ということで、展示されている作品のうちいくつかをピックアップして解説をしてくださるというものだが、そのとき紹介していただいた作品が、私の相田みつをさんに対する印象を大きく変えるものであり、そして自分の一番深いところにある感情を動かすものであった

人の死は避けられないものであり、死んだ人は還って来ない
そして身近な人を亡くした悲しみは、一生癒えることはない
昨日まで当たり前のようにそばにいた人が、朝目覚めたら突然いなくなっている
一瞬、何が起きたのかわからない
葬儀や四十九日やらが過ぎ、日常が戻ってきたときにやっと気づく
自分の日常からその人が永遠に去ってしまったことに

それから色んなことがあった
最初は反抗したり、自分の思ったことを何の躊躇も気遣いもなく述べたりしていたが、そのうち周囲を気遣うことを覚え、何も言わなくなり、そして自分の感情を押し殺すことを覚えた
誰かに相談したり、自分の思いを書き綴ったり、何かに依存することもなかった
ただ何もせず、耐え忍べばよかった
そうしているうちに自分で自分をごまかせるようになり、自分のことがわからなくなった

そして後には、深い悲しみだけが残った

私は人生に絶望しているわけではないし、ましてや誰をもうらむのでもない
最近では自分が心地よく生きることを考え、そういったものを集められるようになり、数年前と比べてはるかに自分らしさが出せるようになった

ただ、思わずにはいられない
あのときこうなっていたらなと
そして、願うのなら、私の大切なものをかえしてほしいと

君看よ双眼のいろ
語らざれば憂い無きに似たり
語らざれば 憂い無きに似たり

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