Essay on Food

食エッセイが好きだ
食が出てくる本は多いが、エッセイは日常生活の中から生み出された、「生活感」を共有できる内容なのでつい手に取ってしまう
近ごろのお気に入りは伊藤まさこさんのエッセイ
「夕方5時から お酒とごはん」を読んでファンになり、つい先日「ちびちび ごくごく お酒のはなし」も読み終えた

時間としては「ちびちび〜」の方が前に書かれたものだったので、「ちびちび〜」の後、再度「夕方〜」を読み直した
両者とも写真付きで著者が普段作っている食事について書かれており、題名からわかるようにそのほとんどが肴であったり、肴とは呼ばないまでも「お酒は〜があう」と書かれた品々ばかりなのだ
酒器やもてなしに関する話題も多い
お酒や食べものに対するワクワクや愛おしさといったものがひしひしと伝わってきて、読んでいるこちらまでほっこり、嬉しくなる

彼女のエッセイを読んでいると、本当にお酒が生活の中に「溶け込んで」いて、単なる酒好きとは次元が違うなと感じる
これぞ、まさに art de vivre である

これらの本はまた、装丁も美しい
写真、色づかい、フォント、言葉選び…
そのどれもが紹介される料理やお酒の数々をより美味しそうに、魅力的に見せていて、本を見るだけでも惚れ惚れしてしまう
装丁まで含めていいと思う本はなかなかないのだけど、このふたつのエッセイはひとこと、お見事である

…酒といえば、先日飲んだカクテルで衝撃を受けたものがある
「ミチェラーダ」である
メキシコ発祥のカクテルだそうだが、昨年行ったときはあいにくと知らなかった
一口にミチェラーダと言ってもレシピは様々なようで、当然味もかなり異なるらしい
私がこのときお店でいただいたのは、
ビールにトマトジュースやチリソース、醤油、レモン汁など(確かこんな感じ…)を加え、グラスの口に塩をまぶしたスノースタイル
とにかくピリッとスパイシーで、ベースがビールとは思えない味だったのだが、、、
一口飲んでハマってしまった!!
こんなにクセになるうまい飲みもの(失礼!)となんでもっと早く出会わなかったんだろう!とショックを受けた
今までのカクテルを一発KOするような、そんな味にすっかり虜になってしまった
今すぐこれを飲むためだけにでもバーへ出かけたいくらい、やみつきになるおいしさ
(念のため、、、かなり好き嫌いの分かれる味であることを付け加えておく)
「良い酒やバーとの出会いは人生を幸福にする」とは、まさにその通りである

どんな人にも、食にまつわる思い出や懐かしい味などがあると思う
その記憶を大切に抱えながら、新たな食事を通じて広がった出会いが幸せな思い出として記憶に足されていくのは、何にも変えられない生きる喜びである

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