Tokyo Metropolitan Teien Art Museum

東京都庭園美術館に行ってきた
リニューアル後初で、実に10年ぶりの訪問だった

東京都庭園美術館は、旧朝香宮家の方々が邸宅として使われていた建物で、その後迎賓館として使われた時期を経て、1983年から美術館として公開されている
今回は年に一度開催されるという建物公開展で、旧朝香宮邸自体の魅力を堪能する企画
今年のテーマは「1933年の室内装飾」で、室内を構成する要素-木材やタイル、壁紙や家具など-に焦点をあて、室内装飾の魅力を解き明かすというもの

前回お邪魔したときは古伊万里の展示をやっていて、展示内容ばかりに気を取られていたせいか、あまり建物自体の記憶が残っていない
そのためリニューアル前後でどのように変わったのか比較することができず、残念に思っている

国の重要文化財に指定されているような建物は土足禁止のところが多いのだが、旧朝香宮邸は比較的新しいこともあってか、靴のままで見学することができた

玄関のガラスレリーフ扉や大客室に大食堂など、やはり主要となる部屋に見所は多かったのだが、個人的なお気に入りは二階広間と書庫だ
第一階段を上がった二階広間が居間のようになっているのだが、そこに備え付けのソファが設置されており、ご家族団欒の場となっていたようだ
落ち着いたグリーンの色調でまとめられた空間は、気品に満ちていながらも暖かみとくつろぎが感じられる
当時はピアノが置いてあったそうで、ご一家でさぞ楽しい時間を過ごされたことだろう

そのスペースの左手奥に書庫があり、天井まである書架が両側に備え付けられているのだが、大変立派な木材を使用した厚みのあるもので、見ているだけで惚れ惚れする
間違っても娯楽小説なんか似合わない、重厚感のある佇まいの書架には、当時どんな本が並べられていたんだろう
その隣にある書斎は、終戦後の一時期吉田茂が外務大臣時代に執務室として使用していたそうだ

朝香宮ご夫妻をはじめ、この邸宅の内装に関わられた方々の高い美意識がいたるところに感じられ、建物全体が美術品のような印象を受けるので、建築やインテリアに興味のある方はもちろん、美しいものに興味がある人にはぜひ見てほしい邸宅である

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