CITY HUNTER THE MOVIE 〜史上最香のミッション〜

※本記事はネタバレを含んでいないので、安心して見ていただければと思う

先日縁あって、一足早く実写版シティハンター(以下CH)の映画を観てきた
奇しくも本国フランスでは今年2月6日に公開されたとのことで、日本で「劇場版シティハンター 新宿プライベートアイズ(以下PE)」が公開されたのと同時期だった
フランスでは「Nicky Larson(ニッキー・ラーソン)」という名前で親しまれており、人気も高いと聞いていたが、本作も観客動員数が168万人を記録したとのこと
フランスの人口が日本の約半分であることを思うと、その超絶な人気ぶりに驚かされる

日本での公開はデラックス吹き替え版のみで、アニメ版で冴羽獠・槇村香を演じた神谷明さん・伊倉一恵さんに代わり、CHシリーズでおなじみの山寺宏一さんが獠を、そしてCH作品初参加となる沢城みゆきさんが香を演じられた(神谷さん・伊倉さんは別役で登場)
山寺さん・沢城さんは某怪盗三世が活躍するアニメシリーズで共演されていて、人気・実力ともに抜群だと思うのだが、今回の実写化で声を当てられると聞いたときの最初の感想は、率直なことを言うと「そっかぁ…」だった
特に山寺さんはPEで香の幼なじみを演じられたばかりなので、その印象がまだ残っているのと、冴羽獠=神谷明さんのイメージがあまりにも強すぎるため、「いい作品になるのだろうが「違う」という印象は拭えないのではないか」と思っていた

結論から言うと、特に山寺さん・沢城さんの声でも違和感はなかった
上映後の舞台挨拶でキャストの方々もおっしゃっていたが、同じ「シティハンター」でもアニメシリーズとは付かず離れずの関係で、独立したひとつの作品であるがゆえに、むしろ声が違った方がすんなり受け入れて楽しめるのではないかと思った
そう、この「付かず離れず」というところがポイントで、主役のお二人こそ違うものの、脇を固めるアニメでもおなじみのキャラ、野上冴子・海坊主・槇村秀幸をアニメのオリジナルキャストが演じていらっしゃるので、そこまで離れた印象を受けることもなく、締めるところはしっかり締められていた印象だった
特に海坊主はビジュアル面でも抜群のハマりっぷりで、彼が画面に登場するだけで独特の安心感と安定感があるというか、どこかホッとする自分がいた
海坊主はハマる人にはハマる役だと思うので、やはりキャラ付けがしやすいのかもしれない

そして本作品で最も印象に残ったのは、声の違いよりむしろ文化の違いが際立っているということ
CHはコメディ要素の多い作品なので、当然「所変われば品変わる」ため笑いやユーモアのエッセンスも異なるわけだが、なかなかに直裁的な表現や驚きのシーンがあったので、やはりこれはフランス映画なのだと思わされた
個人的には実写ならではの表現ということもあり楽しめたものの、どれだけ楽しめる/受け入れられるかによって評価が分かれるかもしれない、とも思った
それが前評判で上がっていた「CHではなくフランスのコメディ映画」という評価に繋がったのではないかと思う

その他に特筆すべきは、作品中に小ネタが散りばめられていること
北条司さんの原作や日本/フランスのTVシリーズはもちろん、他作品へのオマージュもふんだんに取り入れられているので、それらを発見することが次回以降の楽しみになった
また神谷明さんがアドリブで入れたセリフがいくつかあるようなので、そちらも楽しみに再度鑑賞したい

上映後の舞台挨拶では質問コーナーがあり、そこで山寺さんがある質問をされていたのだが、フィリップ・ラショー氏の回答が実にユーモアが効いていて印象的だった
いま書くとネタバレになってしまうので、公開されたらどこかのタイミングで追記したい

そしてこの日は、新宿のジャンプ酒場で行われた「CHの夕べ」にも参加することができた
今年7月にオープンしたジャンプ酒場は、ジャンプ黄金時代と呼ばれていた1980年代の作品をクローズアップし、当時の思い出に浸りながら楽しい時間を過ごしてほしいというコンセプトの居酒屋だそう(なのだが、残念ながら生まれていない)
数々のイベントも企画されており、来月はCH応援月間としてコラボメニュー等が展開されるよう

そんな会場で行われた会談の登壇者は、
・実写版監督/主演のフィリップ・ラショー氏
・弟で脚本のピエール・ラショー氏
・歴代アニメシリーズ総監督のこだま兼嗣さん
・歴代アニメシリーズプロデューサーの諏訪道彦さん
・PEプロデューサーの若林豪さん
の5名。本トークショーはライブ配信されたが、後日アーカイブ配信もされるそう

肝心の内容は、実写版のネタバレに気をつけつつ、アニメ/実写版製作陣にそれぞれのCH愛や作品制作過程などをたっぷり語っていただくというもの
一番印象的だったのが、フランス版では冴羽獠の代名詞ともいうべき「もっこり」という言葉を使用していないため、フランスの視聴者はもっこりに対する特別な思いがないとのこと!
ニッキー・ラーソンでは「coucou」と表現しているそうで、クラブドロテという子ども向け番組で放送することを考えてのよう
日本でもゴールデンタイムの放送で、多くの子どもが見る時間だったが、「女性の嫌がることをすべて除いた(by こだま監督)」ことで、結果的に幅広い視聴者にとって魅力的な内容になったのではないかと思う

CHを堪能できた1日となったが、両イベントの抽選に知り合いの方が多数当たっていて、会場でお会いできたのでさらに楽しい時間となった
アニメ版公開に始まり、実写版で終える2019年はまさに「シティハンターイヤー」とも呼べる記念すべき年で、本当にたくさんの感動をいただいた
シティハンターに携わってこられた方々に、この場を借りてお礼申し上げたい

実写版CHは11月29日公開なので、気になった方はぜひ劇場へ足を運んでください!

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